独立行政法人 労働者健康安全機構 石川産業保健総合支援センター ishikawa

産業保健Q&A

労働衛生関係法令

Q4
事業場で特定化学物質を取り扱っていますが、定期健康診断を含めて実施しなければならない健康診断の種類と診断項目、頻度等を教えてください。
A4

まず、事業者が行わなければならない健康診断には次のものがあります。
1.定期健康診断、結核健康診断
2.特殊健康診断、歯科健康診断
3.雇入時健康診断、給食従業員検便検査
4.海外派遣者健康診断

 定期健康診断は、特殊健康診断の対象者を除き、1年以内ごとに1回、定期に血圧、肝機能、心電図等労働安全衛生規則第44条第1項で定める項目を受診させる必要があります。
 結核健康診断は、定期健康診断等で結核発病の恐れがあると診断された労働者に、概ね6ヵ月後に胸部X線直接撮影等労働安全衛生規則第46条で定める項目を受診させる必要があります。
 特殊健康診断は、労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる有害業務に常時従事する労働者に6ヶ月以内に1回、定期健康診断項目の診断を受けさせるほか、有機溶剤、特定化学物質等の特別規則に定める健康診断を受診させる必要があります。また、粉じん作業に従事する労働者で管理区分UまたはVの人は1年に1回、区分Tの人は3年に1回、じん肺健診が必要です。
 歯科健康診断は、特殊健康診断受診者のうち、塩酸や硫酸等労働安全衛生法施行令第22条第3項に定める歯に有害な物質を取り扱う労働者に対して、歯科医師の受診が必要です。
 雇入時健康診断は、常時使用する労働者を雇い入れるときに、血液や尿、心電図等労働安全衛生規則第43条で定める項目を受診させる必要があります。
 給食従業員検便検査は、事業に附属する食堂、炊事場において給食業務に従事する労働者を雇入れの際に、検便による健診を行わなければならないこととなっています。
 海外派遣者健康診断は、労働者を海外へ6ヶ月以上派遣するときに、定期健診項目及び腹部エコー、尿酸、B型肝炎抗体、血液型等(労働者告示平成元年6月30日付け第47号で定める項目)のうち、医師が必要と認めた検査を行う必要があります。
 また、帰国時にもこれらの検査が必要ですが、血液検査に代えて糞便検査を行うこととなっています。
 なお、健康診断結果の記録は、健康診断個人票を作成して5年間保存しなければなりませんが、特定化学物質の特別管理物質取扱者の個人票は30年間、じん肺健診の記録票は7年間保存となっていますのでご注意ください。
 これら労働者安全衛生法で定められた健康診断のほか、振動障害・VDT作業による疲労・腰痛等を予防するための行政通達に基づく健康診断もありますのでご留意ください。

(THPヘルスケアリーダー 第一種衛生管理者 山田邦夫)

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