主任研究者 | 石川産業保健推進センター相談員 (メンタルヘルス担当) |
小山 善子 |
共同研究者 | 石川産業保健推進センター相談員 (メンタルヘルス担当) |
鳥居 方策 |
石川産業保健推進センター相談員 (カウンセリング担当) |
亀田 真紀 | |
石川産業保健推進センター所長 | 佐藤 保 | |
石川県保健環境センター | 田嶋 隆俊 |
経済産業構造の変化、高齢化社会が急速に進む中、最近の相次ぐ企業の倒産、リストラ等、不況の回復の兆しも見えず、労働者の取り巻く環境は極めて厳しいもので、労働者の仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じている人の割合が昭和57年の50.5%から平成4年では57.3%、平成9年では62.8%と年々増加している。また、中高年の自殺も3万人を越え、職場の労働者の心の健康づくりが重要な課題となっている。
平成10年度の当石川産業保健推進センターの石川県の調査では産業医または衛生管理者からみて、ストレスや心の不調を訴える人が職場に居ると回答した事業所が回答事業所の76%にみられていた。
今回は、石川県の職場で働く人に直接アンケートして、職場のストレスの要因と心身の健康状態の実態を調査したので報告する。
石川県下で50人以上雇用の事業所(1,207社)に勤務する20歳代、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代の男女各1名を対象にアンケート調査をした。回答は6,504人(男3,441人、女2,945人、性別無回答109人、回収率53.9%)から得られた。
調査の結果の概要を下記に記す。
1.仕事で「身体の疲労」を訴える人は65.6%にみられるに対し、「精神的疲労」を訴える人は更に多く75.4%にみられた。年齢別にみるといずれの疲労も30歳代、40歳代が他の年齢層より多く、特に精神的疲労は約8割が訴えていた。
2.1日の勤務時間」は30歳代、40歳代で10時間以上の勤務が約4割に、「休日日数」が月に5日以下が40歳代で37.6%、「勤務後の自由時間」が殆どないとの回答は30歳代では15%にみられた。
3.仕事や職場生活において「不安・悩み・ストレス」が「ある」との回答は75.3%にみられた。年齢別では30歳代が81.5%と最も多く、次いで40歳代80.2%であった。60歳代では「ない」と答えた人が51.7%であった。
4.ストレスの要因としては、「職場の人間関係」をまず挙げている。次いで「仕事の質」、「将来性」が挙げられていた。「人間関係」はどの年齢層にも一番のストレスになっているが、次は年齢によって異なり、20歳代では「仕事の適性」「仕事の質」を、30歳代、40歳代では「仕事の将来性」「仕事の質」、50歳代では「仕事の質」に次いで「定年後の生活」、60歳代は「定年後の生活」を挙げている。(図1)